ニュースの概要

高松市から高松競輪場の再整備事業を受託している株式会社チャリ・ロトが、競輪場の余剰地整備計画を発表した。老朽化した競輪施設の規模を約6割に縮小し、生まれた余剰地を「風と旅が輪る広場」というコンセプトのもと、パーク&スポーツ、マーケット、キッズの3ゾーンに分けて整備する。自転車コースをモチーフにした「風輪ループ」や芝生広場、ライフスタイルホテル、レストラン・カフェ、温浴施設などを配置し、2026年11月にホテル工事に着工、2028年上期のグランドオープンを目指す。第1弾として地域交流広場「チータカ広場」は既に2026年3月にリニューアルオープンしている。

引用元: 高松競輪場に地域の日常と観光をつなぐ複合空間が誕生(PR TIMES(株式会社チャリ・ロト))

分析・見解

施設規模を6割に縮小して生まれる土地をどう使うか

老朽化した競輪施設をそのまま維持するのではなく、規模を約6割に縮めて余剰地を生み出す発想は、公営競技場の再整備としては踏み込んだ判断だ。競輪施設の規模を縮めれば維持管理の対象は減る一方、観客席や関連施設の使い方も見直しが必要になる。その分空いた土地を、競輪ファン以外の来場者を呼び込む仕掛けに転用する狙いが見える。単なる跡地開発ではなく、本業の競輪運営と地域向けの複合空間を同じ敷地内で両立させる点が、この計画の核になる発想だ。

ホテルと温浴施設を核にした「競輪場に来ない人」向けの収益源

注目したいのは、マーケットゾーンに置かれるライフスタイルホテルと温浴施設だ。競輪場の収益はレース開催時の売上に左右されやすく、開催日以外は施設が稼働しない時間帯が長い。宿泊や入浴という毎日発生する需要を敷地内に持ち込めば、開催日に関係なく稼働する収益源ができる。レストラン・カフェも同様に、競輪を目的としない客を呼び込む窓口になる。競輪場という単一目的の施設から、周辺地域の生活インフラの一部へと役割を広げる試みと見てよい。

2026年11月から2028年上期まで、3段階着工という長期計画の読み方

スケジュールを見ると、2026年11月にホテル、2027年夏に温浴・商業施設、2028年冬にパーク・キッズエリアという順に着工が分かれている。グランドオープンは2028年上期で、構想発表からは実に2年近くを要する計画だ。収益化が見込みやすい宿泊・商業施設を先行させ、無料で使える公園・子ども向け区域を後に回す配列は、投資回収の順序としては妥当に見える。ただしこの間、競輪施設自体は規模縮小後の運営を続けなければならず、工事中の来場体験をどう保つかが長期にわたって問われることになる。

他の公営競技場の複合開発と比べた高松の立ち位置

競輪・競馬・競艇の各施設は近年、場外施設の複合化やにぎわい創出を掲げる例が増えているが、玉野競輪場の「KEIRIN HOTEL 10」のように宿泊施設を併設する例も出てきている。高松競輪場の計画は、ホテルに加えて温浴施設やキッズゾーンまで同じ余剰地に組み込み、観光と日常利用の両方の拠点と位置づけている点が特徴だ。瀬戸内という観光資源を背景に、宿泊需要を取り込める土地であることが、この規模の投資を後押ししたと考えられる。

ビジネスへの影響

競輪事業者が検討すべき遊休地活用の実務

施設の老朽化に合わせて規模を見直す際、単純に建て替えるのではなく「縮小して生まれた土地を複合利用する」という発想は、他の公営競技場の施設更新を検討する事業者にとって参考になる。重要なのは、競技運営とは別の収益源(宿泊、飲食、温浴)を同じ敷地に組み込み、開催日以外の稼働率を上げる視点だ。老朽施設を抱える事業者は、建て替え予算の一部をこうした複合化に振り向けられるか、早い段階で検討する価値がある。

受託再整備という事業スキームの広がり

本件は自治体(高松市)が競輪場の再整備事業を外部事業者(チャリ・ロト)に受託させる形で進んでいる。自治体が単独で負うには重い投資を、専門事業者が担う枠組みは、他地域の公営競技場や公共施設の更新を検討する際にも応用できるモデルだ。発注側・受託側の双方にとって、投資回収期間をどう設計するかが成功の分かれ目になる。

地域向けコミュニケーションの先行事例としての「チータカ広場」

全体計画のグランドオープンまで約2年を要する中、第1弾として地域交流広場を先に開放した点は実務上参考になる。大規模工事の前に小さな成果を見せ、地域住民の理解を積み上げる手法は、長期の再整備計画を進める他事業者にも転用しやすい。

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